〔beetleとwasp〕
『Wikipedia』の英語版などで○○beetleと付いていれば甲虫類を指している。
海外の昆虫を調べていて、『Wikipedia』の英語版を引いて自動翻訳の日本語訳を読むと、[beetle]の部分がほぼ全て[カブトムシ]と訳されている。これは非常に気持ちが悪い。
例えば、クワガタムシは英名stag beetleだがこれを[鹿のカブトムシ]と訳されたら訳が解らない。自動翻訳だとほとんどこの調子なのだ。
ドイツ語の[Käfer]、英語の[beetle]に対する訳語としてかつては(明治期)【甲翅虫】という語が使われこれが現在の省略形【甲虫】となるのだが、意訳として【鞘翅目】が使われていた経緯があって鞘翅目と甲虫目が併記されてきた。近年、平易なカブトムシ目という語が使われるようになり(個人的には)これが原因となってワケの解らない日本語訳が出て来る事態に陥っている気がしている。
いや、もっと単純に翻訳辞書の中身が
beetle=カブトムシ
になっているだけなのかもしれないが(笑)。
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同じ事が英単語[wasp]にも言える。waspは自動翻訳だと[スズメバチ]と訳されているが、蜂の名称に広く使われるwaspはスズメバチと訳すと意味が通じない場合が多々ある。
bee=ハナバチ類
honeybee=ミツバチ類
bumblebee=マルハナバチ類
carpenterbee=クマバチ類
leaf-cutter bee=ハキリバチ類
sweat bee=コハナバチ類
sawfly=ハバチ類
rose sawfly=ミフシハバチ類
stem sawfor=クキバチ類
等々、ハチ類を表す英名はこの他にもまだまだある。例えば○○waspという英名だと、
spider-hunting wasp=ベッコウバチ類
mammoth wasp=ツチバチ類
digger wasp=ジガバチ類
braconid wasp=コマユバチ類
fig wasp=イチジクコバチ類
gall wasp=タマバチ類
……等々。少しだけ例を挙げてみただけだが、一口に[wasp]と言っても、必ずスズメバチを意味しているわけではないのである。
要するに[social wasp]の中の一部だけがスズメバチと呼んで問題がない、という話。
yellow jacket=クロスズメバチ類
hornet=モンスズメバチ
vespa=スズメバチ属
Japanese giant hornet=オオスズメバチ
等々の英名であれば[スズメバチ]と訳してもほぼ問題ないと考える。
多分、翻訳辞書の中身は全く吟味せずに
wasp=スズメバチ
なのだろう。
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2022.03.09
2022.03.22(加筆)